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東京家庭裁判所 昭和32年(家イ)1329号 審判

申立人 山本大作(仮名)

相手方 山本三郎(仮名)

山本しげ(仮名)

主文

一、申立人と相手方両名とを離縁する。

二、申立人の肩書居宅の借家権(賃貸借上の借主の地位)並に紙箱製造販売の営業権(機械営業什器等を含む)の申立人に在ることを相手方両名は認める。

三、申立人は相手方両名に対して前項の代償として金三十万円を、内金五万円は昭和三十二年九月末日限り、残金二十五万円については同年十月末日以降完済に至る迄毎月末日限り一ヶ月金一万円宛を支払う。

四、当事者間において離縁に伴う財産関係(営業権、賃借権関係部分)については本件以外に互に他方に対して何等の請求をしない。

五、申立人とその先妻山本一枝との間の子由子等三名の養育費用の分担については別に定めるものとする。

六、調停審判費用は各自弁とする。

理由

一、申立人は昭和十六年○月相手方等の婿養子となつたものであるが昭和三十年○月○○日相手方三郎の長女で申立人妻である一枝と調停離婚したものである。離婚の原因についてはその責任は専ら妻に在つたことと、その他の事情から当事者間の子の親権者を何れも父と定めたものである。

一、右離婚に際しては当初は相手方等も申立人の立場に同情をもつていたが、その後相手方三郎の娘一枝に対する親子の愛情と、養親である自分達並申立人の親権に服する長女由子の扶養に関することから争を生じそのため離縁問題にまで発展した。

一、従つて離縁については当事者間において特に意見の対立もないけれども、離縁に伴う財産関係及び申立人の子達の扶養関係について合意が成立せず、殊に相手方等は申立人に対して離縁後の生活不安から扶養料相当額の金員の支払を要請し若しそれができないとすれば、営業並に家屋賃借権の返還を要求するところである、これに対して申立人は若干の金員提供の用意はあるけれども相手方等の謂うところは理由がないというのであるが営業並に居住の実情その他諸般の事情を参酌して主文の通り審判する。

(家事裁判官 村崎満)

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